自己啓発やカウンセリングなどの世界に入ってくると、だいたいこんなことを言われるので、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。
「あなたはそのままでいいんです」
そのままでいいわけがないから困っているのに、そのままでいいとか言われても意味わかんないですよね。
あるいは、どう見ても道徳的、人道的によくないことをしている人に対して「あなたのままでいいんです」とか言われているのを見たら、「そりゃおかしいでしょ」と思うかもしれません。
個人的には、この言葉がひとり歩きしちゃってないかなー、などと思うこともあったりします。
本当に「そのまま」でいいのか?
本当に「そのまま」でいいのか、というと、そりゃ今後ずっと「そのまま」じゃマズイわけです。
だって、自分だってそりゃマズイと思ってて、なんとかしたいと思ってるわけだし。
「あなたはそのままでいい」というのは、まずは今の自分のことをそのまま素直に受け入れましょう、ということです。
もし自分がさらに望む姿とか、より高みを目指すとか、成長したいとか思うのだったら、この「自分を受け入れる」という工程を踏むことなく進めないからです。
逆に言うと、この工程を踏むことができたら、次に進みやすくなります。
やっていることは、やっている
自分がやっていることを認めたくないし、本当はもっと違うんだと思っているかもしれませんが、やっていることはやっていますし、それが事実です。
それを「やってない」とか「本当はこんなんじゃない」とか言ってるから何も変わらないのです。
そう言い張っているうちは次に進むことができません。
これから沖縄に行こうとしているところで、本当は大阪にいるのに、自分は東京にいるんだと言い張ってても、全然沖縄には行けないじゃないですか。
大阪にいるんだから伊丹空港から飛行機予約しなきゃいけないのに、それでも東京にいるんだと言い張って羽田空港で飛行機予約しますか?
自分のやっていることを認めたくないとか、本当はもっと違うだと言っているのって、これと同じです。
こういうのを「現在地」とか言っていて、「現在地」を知らずして、目的地に到達する方法を見出すことはできません。
大阪なら大阪からの沖縄への行き方があるし、東京なら東京からの沖縄への行き方があるわけです。
同じように、自分が今どこにいるか = 何をやっているのか、を受け入れることなくして、行きたいところに行くことはできないのです。
だから、今の自分を受け入れましょう、「あなたはあなたのままでいいんですよ」ということなのです。
まずは、自分がやっていることは、「やっているんだ」と受け入れることです。
現在のあなたが過去最高のあなただし、これからの未来を見据えれば、現在は最低のあなたなのです。
おわりに
「あなたはそのままでいいんです」というのは、言葉尻だけ取ると言い訳にも使えるし、免罪符のように使うこともできちゃいます。
「あなたはそのままでいい」わけがありません。
もし、あなたがもっと成長することを望んでいるなら。
もし、もっとやりたいこと、実現したいことがあるなら。
ただ、もっとなんとかしたい、もっと成長したい、もっと実現したいことがあるなら、現在の自分の思考、行動、信念、信条、といったものを直視して、実際はそんな人間である、ということを認めましょう、と言っているのです。
そういった自分を受け入れると、自然と次に進むようになるから、私は、今は「あなたはそのままでいい」と声をかけているのです。
少なくとも私は、成長したい人に対して、そのままでいい、未来永劫変わる必要がない、などという甘っちょろいことは言ってないです。