これからの時代における自由と豊かさについて考えてみよう 佐々木 俊尚著「21世紀の自由論-「優しいリアリズム」の時代へ」

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佐々木 俊尚さんの著書「21世紀の自由論-「優しいリアリズム」の時代へ」を読みました。

多面的に「現代で起こっていること」を考察する機会になりました。

歴史的、宗教的、思想的、経済的、哲学的、・・・といった様々な視点を持って、「今は何が起こっているのか」について言及されています。

細々としたところはあまりにも多岐に渡るので、著書を読んでいただくとして、ここでは私が感じたことをベースに書いていきます。

マイノリティ憑依、ゼロリスク幻想が批判家を生む

これが現代の日本的な姿なのかはわかりませんが、どうも批判家が多いと思っています。

個人的に何かアイデアを持っているのではなくて、「これはダメ」「あれはダメ」と、ダメ出しをとにかくしているだけの人が多いのではないでしょうか。

「これはダメだ」というのは割りと簡単ですが、「こうしたらいい」というのはなかなか言うのが難しい。

なぜなら、今までにないことをやるという発想力、それをやり遂げるという意志力など、とてもエネルギーが必要だからです。

ついでに言うと、「これはダメだ」という勢力が必ずいるという煩わしさもあります。

権威に対抗するとか、バカなことを言うやつを無茶苦茶にこき落とすとか、そうやっていてもうまくいかないわけです。

それにもかかわらず、匿名の安全圏から、さも正義の味方のようにずっと批判ばかりしている人は後を立ちません。

ダメ出しするエネルギーは、自分の意志の向かう方へ使う

かつては多大な権力に対抗していればいいこともあったかもしれませんが、現代はそうでもないと思います。

異常なことをやっていると多くの人が思っていても、我が国では首相を辞めさせることすらできません。

徹底抗戦するつもりなら、例えば徴兵制が敷かれたとして、軍務につくのを断ればいいのです。決然たる意志で、絶対に行かないのです。

もしかしたら逮捕されるかもしれませんが、そうやって何百万人と収容所に突っ込まれた方が「これじゃうまくいかない」ことがはっきりするじゃないですか。

何なら日本を飛び出してもいい。海外で生きていく力を持つことです。

何を言っているかというと、「自らの意志で決断し、行動する」ことに意識を向けて、注力していくことの方が重要、ということです。

「あれはダメだ」「これはダメだ」と言うことにどっぷりと力を注いでも、あまり役に立たないからです。

陸に続く一本道

「目的地は分からないが、交通事故を起こさない」リーン的な戦略

かつては経済的豊かさだとか自由だとか民主主義だとか、そういうところに辿り着くのが目的だったと言ってもいいでしょう。

これからはどうなっていくかは分かりません。何を目的にすればいいかわかりません。

100年先の未来なんてわからないのですよね。

だから、その時々で、最もいいと思ったことをやっていくことが重要なのではないでしょうか。

著書の中で、

「目的地はわからないが、交通事故を起こさない」というリーンでリアルな戦略が社会のあらゆるところで求められるということなのだ。

というくだりがあって、「ああ、まさにそうだな」と思いました。

車を運転しているときは、状況に応じてハンドルやアクセル、ブレーキを操作しながら、事故を起こさないようにドライブしていきますよね。

目的地が明確でなくても、そんなふうにして段々目的地に近づいていきますよね。

立ち止まっている車の後ろについて、「バカヤロー」と叫び散らしていても前には進まないのです。

そういうものは、かわして進んでいきます。当たらないように、当てられないように。

そんな生き方をすることがこれからはますます必要になってくるのではないでしょうか。

分かれ道

おわりに

内容は小難しい感じがしましたが、冒頭にあるように、

本書は、21世紀の世界における困難な問いかけをみなで考えるために書かれたものである

ということについて考えさせられました。

今まで何となく納得のいかないこと、「ん〜?本当にそうなのかな?」と思っていたことが、やっぱり根も葉もないことだった、ということがわかったところがいくつかありました。

1回読んだときにはわからなかったですが、もう1回読んでみると、ロジカルな展開にわかりやすさすら感じました。

歴史的背景など、根拠を持って論ずることの重要性をよく感じました。

そうでないと「マイノリティ憑依」で「ゼロリスク幻想」に陥りますからね。

そして、結局のところ、「その時々で、いいと思ったことを全力でやる」ということなのだな、と。

これまで考えたこともないようなことについて、本当に色々考えさせられる内容でした。

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