ダイヤモンド社 人材開発編集部が主催する「研修開発ラボ」に参加してきました (2015/11/26-27)
この「研修開発ラボ」は東京大学 総合教育研究センター准教授である中原 淳先生監修のもと、「研修を開発する」ことを主眼においている企業研修になります。
研修の進行は、株式会社ラーンウェル 代表取締役の関根 雅泰さんがメイン講師としてファシリテートしながら、株式会社ラーニング・クリエイトの鈴木 英智佳さんもサポート講師として随所で登場しています。
今回で第5期ということで、盛況な研修ですね。
これまでも色々なセミナーやワークショップに参加していますが、こういうBtoBな企業研修に参加するのは会社員時代以来であり、いつもとは少し違う感じがしました。
今回は特に「コンサルティングしている会社の人間」という人格で参加している、ということもあるでしょうね。
研修を開発するプロセスを体験
「研修開発ラボ」は、中原先生の著書「研修開発入門」をベースに構築されています。
主に第2〜4章の内容に相当する部分を扱っていました。
- 第2章 研修企画 – ニーズを知る、学習者を見きわめる
- 第3章 研修のデザイン1: 課題を分割し、行動目標を立て、評価手法を考える
- 第4章 研修のデザイン2: 1日を組み立てる
本研修では、研修を企画し、実際に開発していく過程を体験していきます。
個人ワークやグループディスカッション、ペアティーチングなど、実際の研修でも使えるようなアクティビティを行いながら開発していったので、これだけでも研修のネタになりますね。
研修企画では、そもそも研修するのか?という問いが重要
まず研修の企画段階として・・・「そもそも研修で解決するのか?」という問いかけが重要になります。
研修は、企業が抱えている課題を解決する1つの手段にすぎません。
採用や配置、制度、処遇を考えた方が課題解決については有効かもしれません。
研修開発をする立場では、ついつい研修で解決しようとしてしまいますが、実はそれ以外の方法の方がよっぽど早くてうまいということはありえますよね。
なかなか立場的に他の手段を取ることは難しい部分もあるかもしれませんが、そういう提案も混ぜて考えておいた方がいいということです。
研修の効果を最大化にするには、現場の協力が不可欠
そして、研修の効果を最大化にするには、現場の協力が不可欠だということです。
一般的に研修は研修、現場は現場という考えがまだある感じがしています。
要は、研修に参加している時は「これいいな!」「こうやってみよう!」と思ったことも、現場に帰るとなかなか使えないことがあるということです。
こういうのは、職場の、特に上司の態度や、上司の研修に対する考え方が大きく影響しています。
これは日常生活の中でも結構起きていることで、例えば「俺、会社を辞めてラーメン屋をはじめるんだ」と言ったら、奥さんが「何バカなこと言ってるの!?」というような状況だと思ってください。
つまり、職場 (特に上司)がこの奥さんのように、「新しいことに挑戦しようとする気持ち」をいきなり削いじゃうことで、研修で学んだことが、日々の業務の中で全く活かせなくなるということです。
影響度でいえば、研修前:研修中:研修後 = 40:20:40だそうです。
そのくらい研修の前後 = 現場の影響があるんですね。
これはちょっと考えてみればわかることだと思いますが、現場の協力をいかにつけるかも、研修を開発する際に考慮する必要があることだと改めて思いました。
各社の実際の課題を扱う
本研修の特徴として、研修を開発していくプロセスを体験する中で、各社が持っている実際の課題を取り扱うというところがあります。
本当に生々しい現状や、研修あるある話を聞いていると、どの会社も苦労しているものだと思います (苦笑
講師の関根さんや鈴木さんはこれまでもたくさんの事例を扱ってきているプロなので、そういう課題にもビックリすることなく、アイデア出しに尽力していました。
私のコンサルティングしている会社はというと、今のところ社員研修が存在しないので、今何か作るとしたらこんな感じかなーとか思いながら「営業コンサルタント養成講座」を開発してみました (お見せできないのが残念です)。
体系立てられた研修の開発プロセス
本研修では、研修を開発していくプロセスが整理されているところが非常に使えると思いました。
ワークシートに従って順番にまとめていくことで、研修を開発することができます。この流れがとてもわかりやすい。
現在コンサルティングしている会社では企業研修の企画に携わる立場ですし、個人的にセミナーやワークショップを開催しているものとしても、こうしてまとめられた体系があるのはすごく使いやすいと思います。
普段、何気なく頭の中で当たり前のようにやっていることなのですが、こうして改めてまとめられていると、すごくスッキリして、やりやすい感じがしました。
研修内容をここで学んだワークシートにまとめていくことで、研修開発にかける工数を減らすことができそうです。
研修開発部門で共通言語化してもいいでしょうね。
「研修転移」まで考えた研修のデザイン
本研修の中では、「研修転移」ということもしきりに言われていました。
「研修転移」というのは、要は、研修で学んだことを、現場で使って、使い続けていくことが重要だということです。
学習心理学では、「学習」とは、「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」ということだそうです。
変化がなければ、研修しても学んだことにならないということです。
しかも、その変化は持続しなくてはならない。
印象に残っているのは中原先生が説明していた時にあった言葉。
誰も「学べて」いないのに「教えた」というのは、誰も「買って」いないのに「売った」というのと同じ
これは言い得て妙です。
研修をしている側として、肝に応じておきたいところ。
先に書いた「現場の協力」にも関わってくるところですが、研修をデザインする時に、ここまで考えることが研修の効果を最大化するポイントだということです。
おわりに
久しぶりの企業研修で、他社の方々と会社の人間として関わるという体験をしました。
普段は役職とか立場とか全く関係ない人と一緒にセミナーを受けることが多いので、ある意味新鮮でしたね。
私自身のスキルアップにもなったし、もちろん会社にも還元できる内容になりました。これからガシガシ活用していきます。
講師の関根さんや監修の中原先生の活動自体にも興味が湧いたので、何らかの形で関わっていきたいですね。
そういう点でもいい機会になりました。
いつかこういう研修をする側にも立ってみたいですね。
おまけ: 会議活性化弁当 (築地青木)など
研修開発ラボは、昼食で出てきたお弁当や、懇親会に出てきたお酒などもこだわりがありました。
初日のお弁当は金兵衛さんで、こんな感じ。
2日目は築地青木さんの「会議活性化弁当」
両日とも品数が多くて、いろいろ食べることができてよかったですね。
午後の研修が眠くなりにくいもので作られているとか?
素晴らしく美味しかったです。
こういった随所で「気遣いが嬉しいなー」と思える研修でした。