「フランス伝統菓子 x 日本酒ペアリング」という会合に参加してきました。
日本酒と料理を合わせて、また別の次元の食べ物に昇華させていこうという野望を抱く石坂 晏敬さん (以下、ざかさん)が、「日本酒とフランス菓子って合うんだろうか?」と思い、その実験をしてみたのであった。
これがたぶん今回の趣旨です。たぶん。
前日に橋本 憲太郎 (はしもとん – 橋本憲太郎のサイト – – エンパワーメンター / クラウドファンディング / 情報発信 / 沖縄 / 北海道)に「東京に居るんなら行こうよ」と誘われて、よくわからないけど「いくー」とか答えて参加してきたので、本当のところはよく確認していませんでした。
主催のざかさんは一般社団法人日本酒ペアリング推進協会なんてのを立ち上げていて、今や日本酒と料理のコラボレーションを意欲的に推進している人です。
そして、フランス菓子を作ってきたのが山田 明香さん (以下、さやちゃん)。現地フランスにお菓子を作りに武者修行に行ってくるほどのフランスツワモノです。
日本酒とフランス菓子がどんな化学変化を起こし、融合し、そして、どんな形になっていくか。
私は日本酒も好きだし、お菓子も好きだし、うまいもん食えると思ったらそれだけで十分楽しみでした。
厳選された日本酒
まずは、ざかさんチョイスの日本酒から紹介。
左から、
- 満寿泉 (ますいずみ) オーク樽熟成 貴醸酒 (飲み方: 冷 or 燗)
- 玉川 自然仕込 純米酒 (山廃) ビンテージ (飲み方: 常温 or 燗)
- 磐城壽 本みりん 黄金蜜酒 – (飲み方: 燗)
これらを冷、常温、燗で飲むそうです。
基本、日本酒は冷でしか飲まない (温めるの面倒だし)ので、色々な温度で飲めるのは楽しみ。
伝統的なフランス菓子
そして、さやちゃん特製のフランス菓子。見るからに美味しそう。
右上から時計回りに、
- 河越抹茶を使ったフィナンシェ
- 安納芋を使ったコンベルサシオン
- プルーンを使ったガトーバスク
- 高純度カカオを使ったガトーショコラ
そして、河越抹茶を使ったメレンゲ。
どれを見てもやっぱりうまそう。
日本酒のアテにフランス菓子はありか?なしか?
これらの日本酒と、フランス菓子が、果たして合うのか?一緒に食べてうまいものなのか?
その中でも、どの組合せが特に合うのか?
今回の会合では、それが問われています。
まずは満寿泉の冷を注ぐざかさん。
この満寿泉は、貴醸酒というジャンルの日本酒で、製造過程で水の代わりにお酒を入れることで、独特の甘みやとろみが出ています。
その上、オーク樽で熟成させているとのこと。
そのため、色味が日本酒にしては黄色い。年若いウィスキーのような色味です。
香りもウィスキーのような樽臭がしました。
口にしてみるとたしかに甘い。
では、果たしてこの日本酒が、フランス菓子に合うのでしょうか。
早速一緒にいただくことにします。
お酒をいただきながら、フランス菓子を食べつつ、それぞれのお酒やお菓子の特徴について主催が語るのもつまみにします。
この玉川は蔵付きの酵母で作られた、とか言ってたかな? (もはやうろ覚え)
去年、突然、日本酒に目覚めたというざかさんのインスピレーションで選ばれた今回お酒は、フランス菓子というお菓子のイメージに合わせて、甘めのものをチョイスしたとのこと。
結論から言うと、フランス菓子にすごく合いました。
冷、常温、熱燗など温度変化させることで、フランス菓子との相性も変わってくるようで、それもまた面白かったです。
お菓子の方を担当したさやちゃんの話では、ガトーショコラやフィナンシェは小麦粉ではなく米粉を使い、日本酒に寄せて作ったそうです。
他にも、日本酒に合うよう、ガトーショコラは甘くしすぎないようにしたし、フィナンシェは抹茶をチョイスしたとのこと。ちなみに、抹茶は「河越抹茶」を使っていて、ここにもこだわりを感じました。
コンベルサシオンは安納芋を使うというのもこだわりどころでした。それでも思ったより甘くなくて私的には好感。ちゃんと安納芋という素材の甘さを感じられる逸品でした。
作り手のイメージが、同じ名前のお菓子をこんなに変えてしまうのだと、ただただ感心しました。
もう、どのお菓子も、文句なくうまかった。
こうして、お互いに、フランス菓子のことを思いながら日本酒を選び、日本酒のことを思いながらフランス菓子を作った、というのがまたよかったのだと思います。
日本酒とフランス菓子のマッチング結果
このまま「おいしかったです」と言って終わっていくのもなんなので、完全に私の独断と偏見で、今回の日本酒+フランス菓子で特に美味しかった組合せを発表します。
実際のところで言うと、今回はハズレ無しという感じで、だいたいどれもいい感じに合ったので、優劣はつけがたいところですが、あえて言うとこの組合せはよかったかな、と印象に残っているものです。
- 河越抹茶のフィナンシェ + 玉川 (燗)
- ガトーショコラ + 玉川 (常温)
- ガトーバスク + 黄金蜜酒 (燗)
- コンベルサシオン + 満寿泉 (冷)
- 河越抹茶のメレンゲ + 玉川 (常温)
全体的に、玉川が万能感を出していました。個人的には常温が合うなーと思ったのですが、フィナンシェと合わせるときは燗がよかったです。
黄金蜜酒は常温より燗の方が飲みやすかったかな。あと、黄金蜜酒は反則級です。なにせシロップのような甘さなので、菓子と合わせてハズすわけがない感じでした。
満寿泉は冷がよかったな。単品で飲んでうまい酒です。オーク樽で熟成しているあたりもミソで、要はウィスキーのような香りなので、甘いお菓子に普通に合います。大外れは無いし、どれとも合う感じ。あえて言うと、今回の組合せの中ではベストではないだけ。
番外: 黄金蜜酒
今回のお酒チョイスの中で、一番おもしろいと思ったのが「黄金蜜酒」でした。
いやいやいや、ざかさんね?それ、「本みりん」て書いてんじゃん!!
みりんってね、飲み物じゃないのよ。料理に使ったりするやつでしょ?私も肉じゃがを作るときとか、煮物を作ったりするときに使いますよ。それをただ飲んでみようっていうの?
まあ、そりゃアルコール入ってるし?でも、飲料じゃないでしょ。みりんは飲用じゃないでしょ。
これ日本酒の会じゃなかったっけなぁ・・・?調味料も日本酒に入るの?
・・・なんて思うかもしれませんが、これがすごい飲み物でした。
常温よりは、ぬる燗くらいにした方が飲みやすいです。
蜜酒とか書いているだけあって、とろみがあり、香りは甘く、味もシロップのようでした!ほんとびっくり。
この本みりん、フランス菓子より甘い!!と驚きました。
お酒が弱い人でも飲めちゃいそうです。そして飲みすぎてやばくなることでしょう。
ざかさん的には、今回の、フランス菓子と合わせてうまいお酒、という趣旨からして大本命だったようで、確かに合いました。反則です。素晴らしかったです。
番外2: 日本酒 + 紅茶
あと、日本酒を温めて、そこにお茶を入れるというのも試していました。
ルイボスオレンジティやアールグレイを、温めた玉川に入れて飲んでみよう、というのです。
事前にざかさんは試したことがあったようで、オススメされたとおり、「こういう飲み方もあるのか!」と新発見した気分です。
「香りが紅茶の香りになり、味は日本酒」という飲み物、といったらいいでしょうか。
面白い飲み方だなーと思いました。
お茶にも色々種類があるから、組合せを考えはじめると無限に作れそうですね。
おわりに
日本酒とフランス菓子を合わせてみよう、という今回の企画は、見事に成功だったと思います。
もしかしたら、ワインと合わせるより日本酒と合わせた方がうまいんじゃね?というくらいに思ってしまいました。
個人的には、今回の企画を聞いた時点で、「日本酒とフランス菓子は普通に合うだろうなぁ」とは思っていたのですが、ここまでいい感じに合ったというのは驚きでした。
あと、日本酒で合わせて面白かったのは、後をひかないってことです。
お菓子とワインを合せると、水を飲んで舌をリセットさせたくなるのですが、日本酒と合わせるとそれがなかったです。お菓子を食べながら日本酒を飲んで、それでスッと終わっていく感じ。次のお菓子を食べるときにも前の味が邪魔をしません。黄金蜜酒だけは別でしたが (笑
日本酒は臭みを消すという特性もあり、おかげで生魚なんかにも合うわけですが、それが今回のテイスティングの中でも効いていたのかもしれません。
こういうの、やってみないとわからないですね。
あと、間違いなく、今回参加した誰よりも日本酒を飲みまくってきました (笑
面白い試みに参加できて楽しかったです。