「年収150万円で僕らは自由に生きていく」(イケダハヤト著)を読みました。
イケダハヤトさんの著書を読むのはこれが初めて。
初めて読んだというか、彼の存在を知らなかったくらいです (^^;
たまたまどこかのブログで見かけて、読んでみようと思いました。
そして読んでみると、これまでの私の生き方の中では出会わなかった人と出会うようになったんだな、という感じがしました。
書評というよりは、本書を読んで感じたことをシェアしていきます。
陳腐化した「幸せ」な生き方
私もイケダハヤトさん同様、大企業に勤めて、辞めた口です。
どうして辞めたのか?
いくつか理由はありますが、
「世間で言われている幸せな生き方」
が全然幸せだと思えなくなった、ということがあります。
- いい大学を出て、
- 大企業に勤めて
- そのうち結婚して
- 子どもができて
- お家を買って
- 車を買って
- 家族みんな幸せに過ごしましたとさ
というストーリーです。
大手企業に勤め、そのうち結婚して、子どもができて、お家を買って、車を買って、家族みんな幸せに過ごしましたとさ、というストーリーです。
私は慶應義塾大学の大学院を出て、東証1部上場の大手製造メーカーに就職し、結婚もしていますので、このストーリーの前半に乗っかっていると言ってもいいでしょう。
私も入社したころは、こんな風に生きていくんだろうな、と思っていました。
退職するなんてことは考えてなかったですね。
ただ、あるときから、私はこのストーリーを疑問に思うようになりました。
そして、ただ会社に居続けること、そうやって生きていくことに疑問を持つようになりました。
身の回りで、幸せストーリーが始まっていた
そうこうしているうちに、なんだか面白いくらい、自分の身の回りで、この幸せストーリーが始まっていました。
私が退職したのは32歳です。
同期たちは、もう「結婚する」あたりの段階は一回りしていて、次の「子どもができた」、「家を買った」、あたりの段階の報告がじわじわと届くようになっていました。
本当に不思議でした。
どうしてこうも、みんなして同じように歩いて行くのか。
個別に見れば、当然ながら細かい事情は全く違うのですが、ストーリーは概ね変わりないのです。
その根底にお金の流れを見ると、共通点が見えてきます。
「大きく稼いで、大きく使う」が最上という価値観
盛大な結婚式を挙げたり、ローンでマンションを買ったり、1軒屋を買ったり。
子どもを産む、車を買う、◯◯を買う・・・
何かを買って、買って、買って、買って、幸せになっていくストーリーという見方もできますね。
そのためには、稼いで、稼いで、稼いで、稼ぐ必要があります。
大きく稼いで、大きく使っていくこと。
これが幸せ方程式。
本当なのかな?
自分が大切にしているものを大切にすれば、十分満足できる!
例えば、私は結婚式を地元の神社「大山祇神社」で挙げました。
いちおう、かなり由緒正しい神社で、雅楽の生演奏がついていました。
それでも5万円です。
衣装代も数万円程度です。
呼んだのも両家の家族だけ。
結婚式の値段としてはかなり少額でしょう。
そして、十分、幸せでした。
あそこで、あれだけの人に祝福されて、本当によかったです。
嫁さんも幸せだと言ってました。
これは豪華な結婚式がダメとか言っているのではありません。
規模の大小ではなく、大切なものを大切にしていれば、十分満足できるということが言いたいのです。
必要な物が必要なだけあれば十分で、それ以上は余分といいます。
どうして余分なものを買っちゃうのか
いろいろなものを買ったら幸せになるというモデルは、世の中のマーケティングで形成されていると、私は考えています。
「これがあれば幸せになれる」というイメージを埋め込まれちゃっているんですよね。
それがあったら幸せになれそうな気がするって、あくまで妄想じゃないですか。
使ってもないのに、それがあったら幸せになれるかなんて、わからないですよ。
でも、一度頭の中で想像して、それがあったら幸せになる気がしたら・・・欲しくなっちゃうんですよね。
その幸せを手に入れるために。
こうなったら、もうマーケッターの思うがままです。お見事なマーケティングです!
幸せ未来像もこうして作られています。
だから、なんだか面白いくらいみんなでそうしちゃうんですよね。
年収いくらあれば幸せに生きていけるのか
自由に生きていくためには、どれだけお金が必要なんだろう。
本書は、年収150万円という額を挙げています。
私は会社を辞めて、田舎に引越しました。
生活コストを抑える、という狙いは当然あります。
そして狙いどおり、「東京を離れただけでこんなにコストが下がるんだ!?」ということを目の当たりにしています。
特に食べ物に関するコストは驚くほど安いです。しかも、美味しい。
地元で作った作物を、地元のお水で調理すると、美味しくてびっくりしますよ!
極端にいうと、東京だと200円出して買う食べ物が、こちらだと50円で買えて、しかも遥かに美味しい!なんてことがあるわけです。
あと、何かを得るために、お金を介さないか、あるいは格安ですむことは多々あります。
農家の人と友だちになれば、売れないものをもらったり、格安で買ったりすることはできますからね。
冬場の光熱費など、逆にかかってくるコストもありますが、それでもうまくやっていけば、本当に150万円で暮らせる予感がします。
これから生きていくために大切なことは?
本書を読みながら、「年収150万円で自由に生きていくには何が必要なんだろう」と考えていました。
それは、「自分が大切にしたいものを、大切にすることにすること」ではないかな、ということです。
当たり前に見えて、できてないものです。
例えば、残業したくないのにしているというのなら、大切にしたいものを大切にしていない、ということです。
つまらないと思っている飲み会に参加するというのなら、大切にしたいものを大切にしていない、ということです。
自分の価値観を形成すること、見つめなおすこと。
これだけで余分なものを買っちゃうことは減ります。
所有物はどんどん少なくなっていきます。
イケダハヤト氏が言う年収150万円での自由な生き方は、その先にあると感じました。
おわりに
本書は新しい世代の考え方、斬新な切り口で書かれていると感じました。
みんなの年収が減って経済が回らなくなったら日本はおしまいだろう!?とか思うかもしれませんが、イケダハヤト氏は世捨て人ではなく、そんな低年収時代を生き抜くために、むしろ積極的に社会貢献しようとして活動しています。
その辺りの考え方もシュールですね。
一読すると、次世代の価値観を感じられます。
切れ味が鋭いので、賛否両論あることでしょう。
つまり、これからのことを真剣に考えられる良書だということです。
いろいろなことを感じた1冊でした。