このところ「経済学の観点で歴史を読み解く」というテーマの本を読んでいます。
こちらの本などですね。
ローマ帝国は脱税で滅んだのか!とか、そういうのが面白くて、何冊か読み漁っているところです。
人はインセンティブに敏感に反応する
経済的な観点で見ると、ローマ帝国の隆盛には「インセンティブ」に対する人の反応が大きく影響しているようです。
インセンティブとは、すごく簡単に言うと「得があるか?」ということです。
自分にとって得があると思ったらやるし、得がないと思ったらやらない。
損があると思ったらまずやらないでしょう。
人はそういう風に行動します。
脱税って微妙なラインで、うまく行けば得があるし、バレれば損があります。
ただ、その損が許容できる範囲だったら?
あるいは、損のことは全く考えなくて済むようだったら?
まあ、脱税くらいはするかもしれません。
実際、私たちは、このような損得勘定を常にやっています。
それはもう本当に無意識の中でやっています。
無意識の中で行っている損得勘定
例えば、「ダイエットをしよう」と思っているとします。
すると、ダイエットしてスリムになった自分のイメージをしていると同時に、好きなものが食べれなくなるとか、苦しい思いをするとかいったことを想像しているのです。
こんな感じで、頭の中では常に、無意識に、「望ましい結果」と、「望ましくない結果」の比較をしています。
そして、「望ましい結果」の10倍くらい高く「望ましくない結果」を評価するので、そう簡単には思い切った行動に移ることができません (結局ダイエットはうまくいかない、など)。
コーチの立場で言うと、コーチングを受けてみたいと思いながら悩んでいる人は、コーチングを受けた結果、得られるものがあると思えば受けているし、無いかもしれないと思ったら受けないものです。
ここが厄介で、「かもしれない」というのがネックになることです。
私たちは、うまくいく「かもしれない」けど、うまくいかない「かもしれない」ことは、やらない、と決断することが多々あります。
「望ましい結果」の10倍くらい「望ましくない結果」を高く評価しちゃう、というのはこういうことです。
やる前なのだから、うまくいくのも、うまくいかないのも、想像でしかないのですけどね。
「望ましい結果」と「望ましくない結果」は必ず生まれる
あなたにも、やろうやろうと思いながらもなかなか手につかないことの1つや2つありますよね。
それは大体、この無意識の損得勘定が影響しています。
無意識に「損するのでは?」と思っていることは漠然とした不安になります。
そこを具体的に何が起こるのかをしっかり意識するようにすることで、「その損失を踏まえてでもやった方がよい」と決断できることはよくあります。
何か新しいことをはじめると、必ず「望ましい結果」と「望ましくない結果」がセットで生まれます。
これは結果なので、意図していても、意図していなくてもやってきます。
それでも、そのことはあなたにとってやる価値がありますか?というのが問われているのです。
こんな順番で自分に問いかけてみてください。
- やろうとしていることは何ですか?どんなことですか?
- それをすることで起こる「望ましい結果」はどういうものですか?
- それをすることで起こる「望ましくない結果」はどういうものですか?
- 「望ましくない結果」が起こったとしても、「望ましい結果」が得られるなら、そのことをやる価値はありますか?
もしこれで最後の質問が「Yes」であれば、やっぱりやった方がよいのです。
「No」であれば、今はもうやらない、考えない、と決断してください。
そうして、自分にとってやるべきことをやるために、自分の時間を使うようにしましょう。
「No」という答えが出ているものに対して時間を使うのは、時間のムダですからね。
やろうと思いながらも悩むことがあったら、このことを思い出してください。
おわりに
冒頭で紹介した「お金の流れでわかる世界の歴史」という本はすごく面白かったです。
ずっと理系畑で進んできたこともあって、歴史ってほとんどやってないんですよね。
興味はあれど、なかなか手につかなかったのですが、「お金の流れで歴史を読み解く」というのは非常に興味が持て、何冊か読み漁ってしまいました。
人の損得勘定に関するセンサーは、今も昔も変わらずとても敏感で、意識的にも無意識的にも常に「損か?得か?」と監視しているものです。
これが人の意思決定に強く影響していて、行動に違いが生まれます。
つまり、うまく使えば、やりたいことをやれるようになるってことです。