2012/12/15をもって、これまで新卒採用以来ずっと
務めていた会社を退職しました。
2005/4/1に入社したので、約8年間お世話になりました。
東証一部上場企業の製造業。
雇用も安定している。給料もまあまあ?
就職したくてもできない人がたくさんいる、
この雇用不安の中、そんな良い条件にいて何が不満なんだ、
と言われるかもしれません。
会社はとても居心地がよかったです。
優しい人がたくさんいましたし、
新卒入社したばかりの、右も左も分からない私のことを、
時に優しく、時に厳しく接しながら育てていただきました。
部長、課長といった役職に関係なく、
年上だとか年下だとかに関係なく、
若輩者の私が言うことだって、ちゃんと聞いてくれる。
本当に素晴らしい環境が揃っていました。
ただ、これから先のキャリアを考えた結果、
ここは、私がこれから先、ずっと落ち着いていられる
場所ではなかったのです。
だから、思い切って、退職しようと決意しました。
初めての退職
新卒入社した私は、会社を退職するのは初めてでした。
ある時期まで、ずっとこの会社にいるんだと思っていましたから、
退職を決意することは、ある意味これまでの自分の行動を
全て否定していく作業です。
なんともいえないもどかしさ。葛藤。不安。
周りを見てみなよ。こんないい環境を手放すの?
辞めたからって、これからどうして行く気?
どうやって食べていくの?
お金がないと生きていけないよ?
そこに楽園があるとは限らないよ?
そういった思いがずっと巡っていました。
とはいえ、退職を決意している自分には、
退職する時期が見えていました。
それに乗らなければ、また悶々とした日々を
送ることになる。
そうやって、自分の時間を、エネルギーを
浪費したくなかったのです。
退職の時期は、流れに乗って決まった
仕事に切りをつけるのは面倒な作業になるかと思っていましたが、
諸先輩方のお陰で比較的スムーズに行きました。
私の主な職務は、社内研修をすることで、
今年の研修計画を作って実行していたので、
途中で引き継いで行く必要があります。
ここは幸運なことに、前任者がまだ同じ部署にいたので、
引き継いでおきながら申し訳ないことに、
前任者に職務を戻しました。
社内研修以外の作業もいっぱいありましたが、
そもそも私がこの部署に入る前は、それ以外の先輩方が
やっていた作業なので、社内研修と同じように
どんどん前任者に戻して行きました。
みなさん、快く引き受けていただき、本当に感謝です。
最終日まで、引継ぎらしい引継ぎもなく、スムーズに終わりました。
また、私自身のキャリアとしても、上司から、
「来年は昇格するための試験を受けることになるから考えておくように」
と言われていました。
その試験を受けるにあたっては、同じ部署の先輩方や上司の
時間を使うことになります。
もういつ退職するかを考えている私にとって、その時間を
とっていただくのは、とても心苦しかった。
これ以上、ずるずる退職を引き伸ばしても、誰のためにもならない。
そう思いました。
会社に求められていること、私が求めていること
会社からは、私のシステムエンジニアとしての職能を
求められていました。
ただ、私はもうシステムエンジニアとしてこの会社のために
何かしていこうとは思えなくなっていました。
私は、人に何かを伝えるような仕事がやりたいと思っていたのです。
その要望を聞き入れていただき、社内研修を行うポジションにつきました。
研修業務、特に社内研修を実施している現場にいるときは、
とても充実していて、毎回、最高の研修を提供しようと
意欲的に活動してきました。
とても楽しかったです。やりがいがありました。
とはいえ、会社は製造業です。
研修業者じゃありません。
当然ながら、研修業務の仕事がそれほどあるわけではありません。
研修の仕事についてから1年を回してみましたが、
研修業務に携わっているのは、年に1〜1.5ヶ月ほど。
つまり、会社で過ごしている時間の12〜13%しかやりたいことが
やれていないわけです。
それ以外には、部署内で最年少だったこともあり、雑用から
先輩方のサポートなど、様々な仕事をかじっていました。
正直、面白いかと言われると面白くはない。
会社で過ごしている時間の87〜88%が、そんな時間でした。
会社が私に求めていることと、私が求めていることとの
ギャップを強く感じるようになりました。
欲求不満をなんとかしたくて、会社にいるとき以外は
ブログを書いたりメルマガを発行したり、セミナーに出たりと
精力的に活動をしてきました。
そして、会社に行くと会社のことで頭がいっぱいになります。
バッサリと思考が分断されます。
非常に不快であり、どちらかというとブログを書いたりする
時間を取りたいと思っているのに、どちらかというとやりたくない
ことに時間を取られるのが我慢ならなくなりました。
一体、私は誰のために生きているのだろう?
自分の中で、その疑問に対する答えは決まっていました。
そこまでして会社に行くのは何のため?
私は何のために会社に行っているか。
何を求めて会社に行っているか。
全くわからなくなってしまいました。
その答えを、会社が持っているとは思えなくなっていました。
ふと、故スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大で
卒業生に当てたスピーチがが頭の中に浮かびました。
17年後、実際に大学に入りましたが、
私はあまり深く考えずに
スタンフォード並みに学費の高いカレッジを
選んでしまったので、労働者階級の親の収入の
ほどんどは大学の学費に使われていました。
半年もすると、私はそこに何の価値も
見出せなくなっていたのです。私は、自分が人生において何をしたいのか、
それを見つけるために大学が何の役に立つのか、
まったく分かりませんでした。
にもかかわらず、自分はここにいて、親が
生涯かけて貯めたお金を使い果たそうとしている。
だから退学すると決めました。
これで全てうまく行くと信じていました。
この部分に、非常に共感しました。
会社を辞めて起業することは以前から模索しており、
起業家向けのセミナーにも行っていました。
なんとなく、会社を辞めてもうまくいくんじゃない?
と思えるようになってきていました。
幸運なことに、嫁さんはもともと私が独立することには
肯定的であり、セミナーに顔を出す中で多くの仲間が
社外にできていました。
自分のために、自分の生きがいのために、
自分がやりたいことを実現するために。
そのために自分の時間を使おう。
そう、決断したのです。
2012/8/1、退職の意向を上司に伝えました。
それから、仕事に切りをつけ、先日ついに退職しました。
これから、どうしていくか
まだ、これからどうしていくかがはっきりしている
わけではありません。
ブログを書くこと、出版をすること、
セミナーを開くこと、スキーをすること、
・・・
といった活動をしていくことは決めています。
これ、なかなか人に説明できないです (^^;
職種はライター?セミナー講師?ブロガー?スキーヤー?
これらの複合です。
うまく言葉にならないということは、
おそらく、今の社会の枠組みの中では、
確立されていない仕事なのだと思います。
確立されていても、マイノリティなのでしょう。
よくちゃんとした計画もなくそんな思い切ったことするな、
と思われるかもしれませんが、会社に行っているからと
いって、人生の計画が立っていますか?
そんなことはないと思います。
自分の夢を叶えるために、何年後に何をやっていて、
そのために今はこうしよう、というのが計画です。
「明日も会社にいて、定年まで会社にいる」
くらいでは、計画とは言えません。
会社のプロジェクトの計画はいくらでも立てているし、
プロジェクト推進のために尽力しているという人は
いくらでもいます。
しかし、同じように、自分の人生計画を立てて、
そのために活動しているという人には、
ついに会社の中では出会うことがなかったです。
もしかしたらそういう人もいたかもしれませんが、
私がそう感じられる人はいませんでした。
セミナーで知り合った社外の人には、自分のやりたいことを
実現するために活動している人が多くいました。
私は、そちら側の人間になる。
私にはやりたいことがありますし、夢があります。
5年後にはどういうことをしているか、ぼんやりとですが
見えています。
そこには、会社に所属している、という感覚はありません。
だったら、もう、会社は私の居場所ではないのでしょう。
自分の心の声に従うこと
結局のところ、不安や恐れのために、こういった
自分の心の声を信じられなくなっていたんですね。
完璧で詳細な計画は、ついぞ完成しません。
結局のところ、大筋を決めて、そこに向かう中で、
その時々で柔軟に対応しながらやっていく力を
養うことの方が大事です。
計画を立てる力も大事なんですが、それ以上に
こちらの力の方がこれから先は重要だと思っています。
つまり、走りだしてから考る、ということです。
石橋を叩く前に渡って、壊れたら壊れた時のことを考えます。
たとえ助からなかったとしても、石橋を叩いただけで満足することは
永遠にないことがわかりました。
もう新しい石橋に乗っかっちゃったので、ここからどうするかを
自分で決めて、そのとおり行動していくだけです。
誰かが用意してくれた石橋の上を歩くことは安心感がありますが、
壊れた時に誰かのせいにしても仕方がないじゃないですか。
どうせ死んじゃうなら、自分が選んだ道を歩いて行きたい。
こうして、私は自分の選択と責任で、自己実現の道へ、
歩き始めました。
今はすごく力が抜けていて、いい緊張感があります。
これからどんなことがあるかわかりませんが、
嫁さんと一緒に、乗り越えていきます。
楽しんでいこう。