カウンセリングを実際にやっているところをフィクション小説風に書いてみる試みの第1弾。
ヒロイン 鳥居 夢ちゃんが今回扱ったお題は・・・
登場人物紹介
- 藤堂 秀和:
NLPを活用したカウンセリングやコーチングをしている。夢とは1年前に大学時代の後輩から紹介され、コーチングをする。今でもちょくちょく相談に乗っている。 - 鳥居 夢:
社会人3年目。明るく行動力のある女の子。広告代理店に勤めている。1年前に職場の先輩に紹介されて秀和と出会い、彼のコーチングセッションを受けた。その時から何かにつけて相談に乗ってもらっている。
これまでのお話
夢は何かにつけて母親に小言を言われるのが気になって仕方がないという。
母親に小言を言われても気にならなくなるればいいな・・・そんなことを思いながら、秀和のセッションは続いていく。
詳しくはこちらをご覧ください。
夢、カウンセリングを受ける
「まず、軽く目をつぶってください」
そう言われて目をつぶる。
「そうです。で、お母さんが目の前にいて、小言を言っているときのことを思い浮かべてください。最近あった、お風呂に長湯したときのことでもいいですよ」
そうだな。あのときは本当にイラっときた。
「そうそう。そんな感じ。十分に感じたら、頷くなどして教えて下さい」
そのときのことを思い出していると、本当にどんどんイラっとしてきた。
頷く。
「OK。では、ちょっと腕に触れますね」
そうして秀和さんが私の右腕、上腕のあたりを掴んでくる。
温かい。
「しばらくそのイラっとした感じを、感じていてください。十分に感じたら、目を開けてこの部屋に意識を戻してくださいね」
そう言われると、だんだんイラっとした感じが収まってきた。
目を開けよう。
「OK。じゃあ、軽く背伸びをしてね」
そう言って、秀和さんと一緒に背伸びをする。
さっきイラっとしてた感じは完全になくなったな。
「じゃあ、テストしますね」
そう言ってまた秀和さんは私の右腕を、さっきと同じように掴んでくる。
毎度不思議なんだけど・・・こうして同じように掴まれると、先ほどのイラっとした感じが蘇ってくるのだ!
だんだんイラっとしてきた。
「OK、大丈夫そうだね」
そう言って秀和さんが手を離すと、自然と落ち着いてくる。
「軽く肩でも回しちゃおう」
秀和さんに言われた通り、一緒に肩をぐるぐる回す。ふー。
「そうやってお母さんに小言を言われているときに、余裕ある感じがいいって言ってたけど、夢ちゃんにとって余裕ある感じってどんな感じ?最近感じたことある?」
「・・・・・」
最近あったかな・・・あ、そうだ。大学の後輩から相談をされたときかな。
なんとなくだけど、後輩から相談を受けるときは自然と落ち着いて、余裕を持って話を聞いてあげられることが多い。
あのときは確か・・・
「あったみたいだね。じゃあそれでやってみようか」
「はい」
どうしていつもこの人は私が考えていることを見抜くようなタイミングで声をかけてくるのだろう。
そんなに私、わかりやすいのかな・・・
「それじゃあまた目をつぶって、そのときのことを思い浮かべてみてください」
「はい・・・」
「誰かいますか?何か音は聞こえますか?肌に感じるものはありますか?」
そうして秀和さんはその時のことを色々な角度で聞いてくる。
そう、後輩の女の子がいて、よくある恋愛話で、ちょっと切羽詰まった感じがあったかなぁ。
「うん、いいね。その感じをよ〜く感じて」
その時の情景や話した内容などを思い浮かべるほどに、感覚が蘇ってくる。
「では、またちょっと触れますね」
そう言って私の右肩に触れてくる。
また温かい感じだ。秀和さんの手は大きくて、温かい。
触れられているあたりからじわーっと温かい感じが広がってくる。
「そんな感じね。十分に感じたら、またこの部屋に意識を戻してください」
秀和さんに触れられているところが気持ちよくて、しばらく浸っていたのだけれど、だんだん意識がはっきりしてきた。
目を開ける。
目を開けると同時に秀和さんの手が離れる。ちょっと名残惜しい。
「今度は首を回してみるか」
ぐーりぐーり、と、秀和さんにならって首を回す。
「じゃあ、テストするね」
そう言って秀和さんはまた同じように右肩に手を乗せてくる。
暖かく、じんわりしている感じ。それと同時に後輩の女の子の話している感じが蘇ってくる。
「大丈夫そうだね」
そう言って秀和さんの手が離れると、さっきの感じも薄れていく。
「軽く背伸びをしましょう」
秀和さんと一緒に背伸びをする。
「じゃあ、これからこんなことをしていくよ。今の余裕ある感じで」
そう言って秀和さんが右肩に触れてきて、
「お母さんが小言を言ってくる状況に入っていきます」
続けて右腕上腕を掴んでくる。
秀和さんの手が2か所に触れているのを感じる。
なんだろう、これは。
うまく説明できない。
すごく混乱している。
言葉にできない感じ・・・
そうしてしばらく混乱してたんだけど、突然すっと視界が開けてきた感じがする。なじんできたというか。
言うなれば、秀和さんの言うとおり、余裕ある感じでお母さんの小言を聞いている感じがしてくる!
「そうそう。そんな感じでいいですよ」
そう囁いてくる声にちょっと安心した。これでいいんだな・・・
「OK。十分に感じたら、この部屋に意識を戻して、目を開けてください」
そう言われるまで、今どこにいるのか全くわからなくなっていたことに気づく。
そうだ、今は秀和さんと一緒に、麻布十番のカウンセリングルームにいるんだった。
そのことを思い出してだんだん落ち着いてくる。
目を開ける。
同時に秀和さんの手も離れる。両方とも。
なんだかまだふわふわしている感じ。何度か瞬きしてみる。
「よし、また背伸びをしよう。う〜〜ん・・・」
言われるままに一緒に背伸びをする。
ふー。
意識がクリアになってきた。
「さて、どんな感じかな?さっきと今で何か違いはある?」
「そうですね・・・」
「お母さんが小言を言っているときのこと、思い出せる?」
「はい・・・???」
言われるままにお母さんのことを思い出そうとしてみたけど、何か不思議な感じ。
いつものように小言を言っているんだけど、気にならない感じがする。
「何か、いつものように小言を言ってるんですけど、気にならない感じがします」
「おお、なるほど」
「はい・・・なんか不思議な感じです・・・」
「OK。こうしてお母さんに小言を言われても気にならない感じで大丈夫そう?問題ない?」
「はい」
全く問題ない。むしろ望ましい。
「じゃあ、次に小言を言われそうなのはいつ?想像できる?」
「そうですね・・・今日帰ったら早速言われるんじゃないですかね。『今日もおそかったね』なんて感じで」
そう言って苦笑する。
「そのときのことを想像してみて。どんな感じ?」
今日帰って、玄関で「ただいま〜」と言って、リビングに行くとお母さんがいて、「今日もおそかったね」なんて言ってくるところがリアルに思い浮かべられる。
でも、全く何も気にならない。
「はい。全然。気にならないです」
「そか。じゃあ、今日はここまでにしておこうかな」
そう言って秀和さんは終了宣言をしてくる。
「はい。今日もありがとうございました」
いや〜、お母さんに小言を言われても気にならないなんて、なんていいんだろう。
いつも気になってたもんなー。
本当によかったなー!
秀和さんには改めて感謝。
「じゃあ、帰ろうか」
そう言って秀和さんは部屋の後片付けをする。
私はそんな秀和さんを眺めながら、家に帰って小言を言ってくるお母さんのことをもう一度思い浮かべた。
うん。大丈夫そうだ。
そうして私は、秀和さんと一緒にマンションを出た。
おわりに
カウンセリングをしている状況をフィクション小説風に書いてみました。
後半は実際にワークをしているところですね。
こんな感じで進行していきます。
実際にやってみると本当に不思議なことが起こりますので、ぜひ一度体験してみてくださいね。