長野に移住して7年経った私が「移住」について思うこと

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私は奥さんと2人で、2012年12月に長野県に移住してきました。

浅間山を望む雪窓公園から 桜もいい頃合い

それまでは東京に2年弱住んでいました。その前は兵庫に住んでたし。

大学進学を機に上京してきてから、3年おきくらいに引っ越ししている感じです。

そんな私がかれこれ7年も長野に住んでいるのってかなり長期です。

そんな私が「移住」ということについて思うことをつらつら書いてみます。

移住ガイドのインタビュー記事

ただ「よさそうだから」と2人で移住してきた

私にとっても奥さんにとっても、長野という土地には地縁も何もありません。

ただただ「よさそうだから」移住してきたような場所です。

凍った木が見られるのも長野の醍醐味

長野とひとくくりにすると広すぎるので (長野県の面積は、東京、神奈川、埼玉、千葉を全部合わせたくらいあるので)、もう少し細かく言うと、「東信地区」と呼ばれる、長野県でも東側の地域に移住してきました。

群馬県や山梨県に隣接しているあたりです。

具体的には御代田町というところで、軽井沢町の隣町ですね (両方とも住所で言うと「北佐久郡」というくくりです)。

隣接する都市としては佐久市や小諸市があって、地方都市圏を形成しています。

北陸新幹線が、佐久市にある佐久平駅と、軽井沢町にある軽井沢駅に停まるので、我が家は都内へのアクセスも良い場所です (いずれの駅も車で15~20分ほどで行ける範囲)。

北陸新幹線

適度に田舎で、ちょっと足を伸ばせば佐久市や軽井沢町といった街があるため、生活の便はよいです。

ま、私なんて人口15,000人規模の御代田町が都会に思えるくらい田舎からきたので、そこに比べればかなり暮らしやすいと言ってもいいかもしれません。

現在は都内にも事務所を開設していて、2拠点生活をしています。

移住はすべきか?

まず、移住はすべきかというと、する必要はないです。

義務感でやることじゃないですし、その心意気でやってしまうと多分割りに合いません。

この「移住すべきか」と考えるとき、具体的にはどういうことを考えていますか?

例えば、「移住」には、

  • メリットはあるか
  • 今より生活の質は向上するか
  • 今後の社会情勢の中で優位なことがあるか
  • 今後の人生において勝ち組になれるか

みたいなことを考えていないか、ということです。

いつも「ooすべき?」とか考える人は、もう少し掘り下げて、自分は具体的にどういうことを念頭に置いているのかを知ったほうがいいでしょうね。

もし上記のようなことを念頭に「移住すべき?」と考えているのであれば、移住はしないでもいいのではないでしょうか。

お金持ちになりたいなら東京に住んだほうがいいでしょうしね。

なんというか、「移住」というのは、そういう「ものさし」で測るものとは違うジャンルのものだと私は思います。

自分で楽しむことができるかがカギ

田舎には東京のような娯楽がないです。

ある人が「田舎にはワクワクするものがない」と言っていたそうですが、こういう人が求めている「ワクワク」は、大抵が誰かから提供されるものなのではないでしょうか。

言うなれば、パチンコに行く、新宿に繰り出す、アキバで遊ぶ、ディズニーランドに行く、新しくできたお店に行ってみるといった、誰かから提供されたものがないと遊べない、満足できないと言っているのです。

はっきり言って、あなたの望む娯楽なんて、田舎では誰も提供してくれないのです。

田舎のワクワクするは、これとは全然違います。

広い土地があって、そこで何してもよくて、「しゃー!畑つくるぞー」とか、「どんな家を建ててやるかなー」とか、そういうのが楽しい人なら、田舎は楽しいでしょうね。

庭に畑を作る

自分が率先して何かをやっていくことにワクワクする。

そういう人はきっと田舎の生活は楽しめるでしょう。

車に積もった雪でお絵かきして遊ぶ

実際、このあたりに移住してきて楽しそうにやっている人は、そういう傾向があります。

逆に、移住に失敗したという人は、自分を楽しませてくれるものがなくなったことを悲観しているのかもしれません (幸いにも、こちらに移住してそういう人に出会っていませんが)。

だから、間違っても「田舎には楽しく遊べる場所がない」と思っているうちは移住なんてしない方がいいです。

田舎を楽しめる人は、楽しく遊ぶ場所は自分で作るし、何もないところでも楽しく遊ぶのです。

遊ぶ場所というのは、探すより自分で作った方が楽しかったりするのです。

息子のソリで遊ぶ母親

仕事がある?経済的にやっていける?

そこに仕事があるのかとか、暮らしていけるのかとかいう疑問は正直考えてもムダです。

仕事があるからといって移住先を選ぶと、思ったような仕事じゃなかったり、楽しくなかったりしたらその土地に住むのがつまらなくなるかもしれませんからね。

そもそも東京に住んでいる理由が、そこで就職したから、とかだったりするんじゃないですか?

それから転勤を言い渡されたので大阪に住んでいる、とかだったりしませんか?

つまり、仕事があるから、仕事のある場所に住んでいるのです。

そういう価値観で住む場所を考えるのであれば、東京などの都市圏にいた方が幸せというものです。

ぶっちゃけ、東京の人が東京でやっているような仕事を田舎に求めても、そこにはないでしょう。

結婚相手を経済状況で決めるのと同じです。円の切れ目が縁の切れ目になります。

まずは住むところを決める。決めた土地で、そこにある仕事をする。

順番的にはこちらになるのだと思います。

人が住んでいる以上仕事はありますからね。

もしかしたら、リモートワークが進んで行ったらこういう悩みは減っていくかもしれません。

子育てには田舎はいい

子育てをするという観点でいうと、田舎はいいです。

車道は車がいるから危ないと教えますが、主要道に出なければそれほど車の往来は多くないのでそこまで神経質にならなくて済みます。

遊ぶ場所はそこらじゅうのどこでもいい感じです。公園とか連れて行ってもいいし、うちの庭で遊んでいるのでも十分です。

サッカーボールを取り合う子どもたち

原っぱでのびのび遊んでいる子どもたちを見ていると、野生を感じるほどです (笑

夏のアサマ2000 芝生を走り回る息子と這い回る娘

食べ物も新鮮なものが多いので、工夫すればほとんど加工品を食べなくてもやっていけます。

市販の離乳食をあげることもほとんどありませんでした。そもそも大人の食べるものを小さく砕いたりしちゃえば食べられますしね。

難点があるとすると、移住してきた夫婦には子どもの預け先が少ないということでしょうか。

ひとりで遊んでいる娘

こちらが地元の人は親類に預けたりしているようですが、そういう加護が移住者にはないんですよね。私たちの両親は、いずれも300km圏内にいないので、ホイホイ預けることもできないです。

ファミリーサポートなど、自治体でやっている子育て支援などを活用していますが、それもほぼボランティアに近いもので、預け先の都合によっては受け入れしてもらえなかったりします。

実際に我が家で保育園を経営してみて思うのは、そうそう地元の人はお金を出してまで子どもを預けない=保育園というのは経営的にやっていけないということです。

そういう事情もあってか、民間の保育所というのはほぼ存在しません。ほぼ公共の保育園しかないです。そうなるとなかなか融通が効かないんですよね・・・

ただ、そういう点を踏まえても、子どもたちの成長を考えると、田舎で走り回ってのびのび育つというのはすごくよいことだと思います。

アサマ2000パーク はいはいする娘

移住に成功も失敗もない

移住に失敗する、みたいなことを言う人もいますが、移住に成功も失敗もないと私は思っています。

思ったのと違った = 失敗と言うのであれば、大体移住なんて思ったのと違うものになるし、移住ってそういうものなんじゃないですかね。

何せ、これまでの自分の価値観とは違うところに飛び込むわけですから、そこに飛び込む前に、そこに住んだらどうなるのかなんて、想像できないです。

気温は -11℃

事前に手に入る情報は限られていますし、住んでみてはじめてわかることなんてザラです。

もしかしたら、移住体験会ではいいように言ってる人も、いざ住んでみるとぜんぜん違うことを言うことだって普通にあり得ます。

「移住してくるのは歓迎するけど、オレの生活は変えてくれるな」と思うなんて、人としては普通な反応じゃないですかね。

郷に入れば郷に従え、ではないですが、個々人の許容量が試されているのかもしれません。

それくらいならやれるとか、そういうものなのねと思えるか、とか。

逆にこうじゃなきゃいけないとか、これはこういうものだ、とかいうのが強い人は移住に向いてないでしょうね。

私の感覚的には、生まれも育ちも東京で、東京から離れたことがなくて、東京=日本だと思っちゃってる人には田舎に移住するのはハードル高いと思います (本人にそんな自覚は全くないのが常ですが)。移住先のコミュニティが小さいほど、耐えられないことが増えるんじゃないかな。

東京からこっちに移住してきたときに、ゴミ袋は町指定の袋を買わなきゃいけないし、そのゴミ袋にどこの誰が捨てたかわかるよう名前まで書かなきゃいけないというのに軽く驚きましたが、「まあ、そういうものなのね」と私は思えました。

こういうことに対して、いちいち「そんなん (私のこれまで住んできたところの常識では)ありえない!」とか反応していると移住疲れしちゃうでしょうね。

あえていうと、住んでみるまでわからないことがかなり多いので、最初から全部捨てて飛び込もうとか考えないことです。いきなり家を買っちゃうとか。畑を買っちゃうとか。

あまりに「移住」というのが壮大なものに思えていると、そのくらいするもんだと思っちゃうかもしれませんが、あなたの人生をあなたが住みにくい場所のために費やす必要はないですからね。

いざとなったらまた違う土地に移り住むことができるよう、リスクヘッジをしておくのも賢い移住のやり方なのかもしれません。

おわりに

ふと「移住」というテーマで思ったことを書いてみました。

私は東京を離れて長野に移住したことをすごく気に入っていて、住んでいるだけで幸せに感じられます。

やっぱり、自分が住みたいところを自分で選んで、そこに住み着くというのは、なんとも言えない幸福感があるものです。

移住に興味がある人は、実際に移住してみた立場からお話できることはいろいろあると思うので、興味があれば聞いてみてください!

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